昨年から欧米の高校を視察して、教育の違いを比較研究しています。今年の3月にはアメリカのシカゴの高校を4校視察し、授業を見て、教師や生徒から聞き取りをしてきました。欧米の学校の特長は「民主主義と人権」の教育が中心ということです。そして、それを生徒たちは知識とともに体験的に学んでいるということです。シカゴではそうした学校を「デモクラシー・スクール」として教育委員会が推進しています。具体的には、授業での学習と、生徒の学校運営参加、地域活動参加を通じて、民主主義や権利について学んでいます。
これは大東学園高校が教育の中心に掲げてやっていることです。三者協議会を通じて民主主義と意見表明する権利(子どもの権利条約)を体験的に学び、総合学習で人権や「性と生」、そして平和について学んでいます。こうした教育は世界では当たり前の教育ですが、日本国内では残念ながら少数派なのです。
私は主権者教育について研究していますが、日本の若者の選挙参加などの主権者意識は世界で最低レベルです。その背景には、「私が参加しても、社会は変わらない」という意識があります。世界的には、子どもを学校運営に参加させて「私が参加すれば変わる」という主権者体験を学校がつくっています。
こうした世界水準の教育を大東学園高校が推進している、その生徒たちの姿を今日の公開研究会で見ていただきたいと思います。
2019年度公開研究会助言者 首都大学東京・特任教授 宮下与兵衛